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海のカテドラル LA CATEDRAL DEL MAR [LIBROS]

2007年にバルセロナを訪れた時、この辞書ほどの厚さのある本を友人という友人が持っていました。もちろん本屋さんの目立つ場所に平積み。みんながおもしろいと言うし、タイトルにも惹かれるし、何度も買おうかな、と迷ったのですが、既に数冊の本で重くなったスーツケースと、通勤時にこの本を持ち歩くことを考えて買うのを我慢。きっと、近いうちに翻訳もでるだろうとも思っていました。2010年に翻訳が出ていたこと、全く気づかず、連休前に偶然見つけ、今度は迷わず買い!日本語版は文庫本だし、2冊になっているので、これなら持ち歩けるし、寝そべって読んでいても手も疲れない!?

久々にベストセラーになったのも納得のおもしろい本でした。舞台は中世のバルセロナ。主人公は逃亡農民のアルナウ・アスタニョル。次から次へと降りかかってくる理不尽な不幸に打ちのめされながらも、生き抜くアルナル。中世の貴族や宗教関係者の傲慢さに腹を立てたり、子どもながらバスターシュ(海の仲仕)という船の貨物を運ぶ作業員となり、「海のカテドラル」建設のための石を運ぶアルナウの場面に涙したりしながら、一気に読みました。(GWで良かったなぁ)迷路のようなバルセロナの旧市街を歩いている途中、この物語の舞台でもある海の聖母教会に数回行ったことがあります。モンジュイクから、その教会まで大きな石を背中に担いで人が運んでいたとは、どれほど深い信仰心だったことでしょう。またバルセロナを歩いてみたくなりました!

この物語で敬虔なカトリック信者であるアルナウはユダヤ人やモーロ人の友と揺るぎのない信頼関係を築きます。一方、親戚の家族たちには酷い仕打ちをされます。・・いろいろ考えさせられました。いとこのマルガリータも報いを受けても良かったのに!とちょっと残念!??

翻訳は『風の影』の木村裕美さん。翻訳も素晴らしいと思いました。やっぱり、今度原書も読んでみようかなぁ。

ボローニャ国際絵本原画展 [LIBROS]

板橋区立美術館で明日までの原画展。慌てて行ってきました。毎回、楽しい発見がありますが、今回も素敵な絵本をたくさん見つけました。

一番のお気に入りはPinto & Chintoさんの『すぐねむりこむ子どものためのおはなし』(Cuentos para niños que se duermen en seguida)[かわいい]PintoさんはDavid Pintorというイラストレーターで、ChintoさんはCarlos Lopezさんという作家さん。ユーモアたっぷりの短いお話がいくつもあって、これなら授業でも使えそう。絵も好み。本を全部読む時間はなかったので、2,3のお話しか読めなかったのですが、一番笑ったのは"Monstruo"(怪獣)のお話!マルセロ(だったかな?)がある晩、お母さんに「ベットの下に怪獣がいるよ!」というと、お母さんは「当たり前じゃない。うちは怪獣の一家なんだから・・・。お前の父さんも怪獣、母さんの私も怪獣。お前の寝ている二段ベットの下にはお兄ちゃん怪獣が寝ているんだから、ベットの下に怪獣がいるのは当たり前でしょ!」・・・みたいなお話です。思わず、ひとりでクスリ。でも、怪獣はお母さんでもel monstruoで、男性形なんですね~。この本、とっても欲しかったのですが、美術館ショップには売っていなかったのでカタログだけ買ってみてみると、なんと!作者は来週から私が行く予定にしているスペインのコルーニャの人だったのです!Davidさんのブログを見ていると、彼の絵が壁に書いてある本屋さんなどもあるみたい。わ~い!!楽しみだなぁぁ!
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それから、今年の特別展としてボローニャブックフェアとスペインのSM財団によって作られた35歳以下のイラストレーターを対象にした「ボローニャSM出版賞」受賞作品の展示。第一回の受賞者はイタリア人のPhilip Giordanoさん。作品は『かぐや姫』。絵本はスペイン語です。ストーリーはまさにかぐや姫なのですが、イラストが斬新。ご本人のインタビュー映像で、宮崎駿さんのファンだと言っていましたが、なんとなく絵がどこか似ているような気がしました。
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他に台湾のチェン・インファンさんの『ペットを飼ってもいい?』の優しい絵の本や、ポルトガルのBernardo Carvalhoさんの『お庭の本』もカラフルで良かったです。
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絵本展を見た後、休憩したいなぁと思ったのですが、美術館のそばに入りたいお店を見つけられなくて、結局、本郷まで戻ってきてしまいました。丁度『三四郎』を読んでいたので、駅を出て、何となく東大方面に足を向けたら、目の前をおばあちゃんと手をつないだ、その息子さんとみられる方が歩いていて、ある建物に入って行ったのです。お二人が入ったのは近江屋洋菓子店というとってもレトロなお店。どうやら、中で食べることもできるようなので、私もついて行ってしまいました。通りに面したところには、ケーキやお菓子のショーケース。サンドイッチなどもあります。そして、奥にカウンターといくつかのテーブル。そこだけ昭和の世界です。飲み物はドリンクバーになっていて、コーヒーや紅茶の他に「ほうれんそうとリンゴのジュース」、「スイカジュース」などもあります。働いている人もお年を召した方が目立って、いい感じ。創業は1884年。初めは炭屋さんだったのが、パン屋さんになり、二代目がアメリカに渡航して帰ってからケーキ屋さんをはじめたみたい。お皿は紙皿だし、コップも使い捨てのもので、おしゃれなカフェではないけれど、すっかり気に入ってしまいました♪

ノーベル文学賞の迫力? [LIBROS]

先週の月曜日と火曜日、ペルーのノーベル文学賞作家であるマリオ・バルガス=リョサ氏の来日にあわせて行われた「マリオ・バルガス=リョサ入門講座」を受講しました。スペイン人作家のJuancho Armas Marcelo氏による講義ですが、この講座の売りはなんと言っても2日目の講義の最後にリョサ氏ご本人のお話を伺えること!リョサ氏の作品は数多くありますが、正直なところ、これまでに読んだものは『都会と犬ども』、『緑の家』、『楽園への道』の3作品だけでした。「読んでおかなければ」という半ば義務感?で読みました。『都会と犬ども』と『緑の家』は苦労して読んだ記憶がありますが、池澤夏樹さんの文学全集に入っている『楽園への道』はとてもおもしろかったです。画家のゴーギャンと祖母フローラの物語です。フローラは19世紀の人でスペイン系ペルー人の父とフランス人の母との間に生まれた初期の社会主義者です。

さて、講座の方ですが、2日目の講義の終わる30分前くらいに、リョサ氏が現れるとその場の空気がさぁ~っと変わりました。流石に90年にフジモリ氏と大統領選を争っただけに、声もしっかりとし、ハッキリとわかりやすい話し方をされる人でした。リョサ講座の後は、参加者皆が少し舞い上がってしまい、短い時間の質疑応答に終わりましたが、その後の講演会でたっぷりとお話を聞くことができました。ここでその全てをご紹介できないのですが、特に印象に残ったことは、とにかく彼は「書くこと」が幼少の頃から好きでたまらなかったということでしょうか。幼い頃から読書もたくさんされたそうで、その中の物語で最後が気に入らないと自分で物語の続きを作ったりしたそうです。(そこで、私がふと思ったのは『水滸伝』の結末!すごく長い物語を読んだ結末が、気に入らず、もし文才があれば書きなおしたい!と心底思ったものです)また、講演の中の、彼の様々な作品にまつわるエピソードも大変興味深いものでした。そんな訳で、まだ読んでいない著作を手にしました。リョサ氏が初めて外国のことについて書いたという『世界週末戦争』です。1890年代にブラジルの北東部で起こったカヌードスの反乱についでの史実に基づいた作品。ちょうど、今、渋谷でグラウベル・ローシャの映画特集をしていますが、ちょうど同じ世界を描いています。先週、『アントニオ ダス モルテス』だけ観たけれど、不覚にも寝てしまいました・・・


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きんぎょのおつかい [LIBROS]

お散歩への情熱!?冷めやらず、今朝はまず、横山大観記念館へ。「漁火」というプラチナの絵具を使った作品と「木菟(みみずく)」等が展示されています。「漁火」にプラチナの絵具が使われていること、知らなかったのですが、言われてみればピカリと光って見えます。朝一番だったので、静かに鑑賞することができましたが、ここにも震災の影響が・・・。「不動明王立像」が修復中で見学できません。それに・・天心らと集った北茨城の六角堂の写真が飾られていましたが、今は跡形もなくなってしまって・・・。

気を取り直し、ヨガに出かけた後は国際こども図書館へGO!今の展示は「日本のこどもの文学」。昔の絵本の装丁の美しさにほれぼれ。それに横書きのタイトルが右から左に書かれているので、『ビソアノウザ』(象の遊び)とか書いてあると何だか魔法の呪文みたい(笑)展示中の本はガラスケースの中にあるので、手にとって見られないのが本当に残念。中にどんなお話が書いてあるのかな?1914年にスペイン語に翻訳された『MOMOTARÓ』もありました。Oにアクセントがついているとは、なるほど~~。これも表紙しか見られなくて残念、残念。1階の閲覧室で読めるものはないか、探していると偶然、与謝野晶子の『きんぎょのおつかい』という本を見つけました。これが、とってもシュールでおかしい!ある日、太郎さんが菊雄さんのところにお使いに行ってもらう用ができたのですが、お手伝いさんが病気なので、しかたなく金魚の赤さんにお使いに行ってもらうことになったのですが、一匹で行くよりも、ということで、次郎さんの金魚の白さんと、千代ちゃんの金魚のぶちさんと、三匹そろって、新宿からお茶の水まで電車に乗っていく、という何ともシュールなお話。停車場に「すていしょん」なんてルビがあって楽しいし、駅までは問題なく行った金魚さんたちが、いざ電車に乗る時になって、「水がなくて苦しいので水を持ってきて下さい」と駅員さんにお願いしたり、駅員さんは金魚さんたちに手がないので切符を持って乗らなくてもいいと言ったり・・・。インパクトのある絵本でした!

そうそう、昨日の『蝶々喃々』ですが、小川糸さんの小説に出てくるお料理はいつも、とてもおいしそう!今回は早速「トマトのおでん」をマネしてみました。湯むきしたトマトときゅうりを薄めのお出汁で丁寧にコトコト。しっかり冷やすと、ちょっと酸味があってとてもおいしいです。今日は黒胡椒を少しふってみましたが、きっと七味唐辛子でもおいしそう。クールビズメニューの一品にオススメです。


喋々喃々 [LIBROS]

『食堂かたつむり』の小川糸さんの作品『蝶々喃々』を読んだら、私のお散歩魂(!?)に火がついてしまいました(笑)。物語は谷中でアンティークの着物屋さんをしている栞さんとお客さんだった春一郎さんの12カ月。栞さんを取り巻くご近所さんのまどかおばあちゃんやイッセイおじいちゃんがとても素敵。でも、物語全体としては不倫ストーリーなので、正直、全然共感できないし、栞さんも素敵なところもたくさんあるけれど、でも、やっぱり「違うんじゃないの?」と言いたい。でも、この物語、出てくる場所、お店がほとんど全部、私のお散歩コースや思い出深いところばかり。谷中ボッサとか、つる瀬とか、イナムラショウゾウとか、大好きなお店がオンパレードで出てくるので、「そうそう、そのお店のケーキ、絶品なの!」と読みながら楽しくなります。浅草のアンヂェラスに栞さんがイッセイさんに連れられて行く場面、木曜日に仕事帰りの電車の中で読んでいた時は、このお店に連れて行ってくれたN先生のことを思い出してしまい、涙がポロポロ。江戸っ子の彼女は浅草界隈にも詳しくて、学生たちと初詣に行った時、アンヂェラスにも連れて行って下さったのでした。もっともっと一緒にお出かけしたかったなぁ。『蝶々喃々』には時々、行ったことがないご近所のお店も登場します。いつも前を通るけれど、随分前から予約しないと行けない鳥鍋のお店・・・やっぱりいつか行ってみたいなぁ。それから、その先にあるちょっといいバーってどこかしら?そう言えば、お酒のお店は全然、知らないなぁ。そうそう、湯島天神の木鷽、来年は絶対、購入しようと、1月25日に○をつけました。日ごろ知らないうちについてしまう嘘を「誠」に替えて下さるのだとか。ご近所に住んでいながら、「鷽替え神事」を知りませんでした。

この地に越してきてからしばらくは、暇さえあればお散歩に出かけていました。ちょっと遠くに出かける時は自転車で。それなのに、ここ2年、仕事がものすごく忙しかったのと、気持ちの余裕を失っていたせいで、あまりお散歩にでかけず、お休みの日はジムに行くかギターを弾くか・・・。「PoderosaII号」と命名した自転車もパンクしたまま自転車置き場に放置していました。そのため、昨秋、久しぶりに自転車で少し離れた図書館に行こうとしたら、なんと!私の自転車に見覚えのない鍵がついていて、乗れない!見捨てられた自転車だと管理人さんに思われて、新しく越してきた人のものになっていたのです(泣)かなり頑丈な鍵がついていたのに、その鍵も業者の人が切断してしまって。もちろん、自転車は返してもらったのですが、でも、その後、新しい鍵をつけたものの、サッパリ乗っていませんでした。

今日は午後から雨が止んだので、ジムで汗をかいた後、上野公園のタイフェスでランチを買って、その後、石鹸の体験カービングをしました!
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はじめての作品でちょっと不細工ですが、楽しかったデス。

それから、ジム用の大きなバッグを家に置いて、採点しなくてはならないテストを抱えてTIESへ。テストの採点、家だとつい、いろいろ気が散るので、いつもどこかの喫茶店で一気にやってしまうのですが、TIESもお気に入りの場所のひとつ。『蝶々喃々』にも度々登場したので、久しぶりに行ってみたくなりました。今日は土曜日だったので、少し混んでいましたが、相変わらず、ロイヤルミルクティー、美味!採点を終えて、のんびり我が家に帰る途中、講安寺に寄り道。
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紫陽花がきれいな季節になりました。

人生はクジラだ・・・『フォスターさんの郵便配達』 OK,señor Foster [LIBROS]

昨日、セルバンテス文化センターで、現在スペインで最も脂ののった児童文学作家のひとりであるエリアセル・カシーノ(Eliacer Casino)氏の講演会がありました。以前、このブログでもご紹介した『ベラスケスの十字の謎』の作者です。日本でスペインの児童文学作家のお話が伺えるなど、滅多にないチャンス!今回は日本語の翻訳版が出たばかりの『フォスターさんの郵便配達』に関するお話がメインでした。

海辺のウンブリーアという小さな町に住むペリーコ少年の成長の物語です。スペインのフランコ政権時代のお話ですが、読んだ後、心の宝物がひとつ増えたような、そんな作品です。特に、「人生はクジラだからですよ。」この文章に心が奪われてしまいました!この後には「クジラがぐらぐらすれば、わたしたちはみんな海に落ちます。そうなったら、聖ブレンダンにすがるしかないのです。」と続きます。聖ブレンダンとは船乗りや旅行者の守護神です。それから、幸運のお守りの「タツノオトシゴ」の場面もとっても素敵です。

物語の舞台、ウンブリーアはカシーノさんの夏の家があるスペイン南部のプンタ・ウンブリーアがモデルだそうです。いつか、是非訪ねてみたくなりました。

作者のカシーノさんは作家であると同時に中学校の哲学の先生でもあります。授業の時、子どもたちに本を勧める時の様子やご自身の幼少時代の読書について穏やかにお話される講演会は、時間を忘れてしまうほどでした。また、この本の翻訳者の宇野和美さんの訳、そして講演会での解説も素晴らしいものでした。『フォスターさんの郵便配達』に登場する日本の切手は、宇野さんから届いたお手紙に貼ってあった切手を見て思いついたようですよ。

そうそう、カシーノさんの『バベルの部屋』("Una habitación en Babel")(未訳)が10月22日にスペインの2010年の児童文学賞el Premio Nacional de Literatura Infantil y Juvenilを受賞したばかりでもあります。『フォスターさんの郵便配達』はすぐれたYA(ヤングアダルト)作品に贈られるアランダール賞を受賞しています。

原書もとても欲しかったのですが、セルバンテス文化センターの書店では在庫切れでした(涙)今日にでも注文しようと思います♪


バチスタ [LIBROS]

ちょっと長めの旅に出るときはいつも5~6冊の文庫本を持っていきます。あんまり難しくなさそうなのものを選ぶのですが、この夏の旅の友の一冊に『ジーン・ワルツ』がありました。本屋さんで平積みになっていて、「何となく」買った本です。そう、あの映画にもなった『チーム・バチスタの栄光』の著者海堂尊さんの作品です。でも、私、ドラマも映画も見ていなかったし、もちろん本も読んでいませんでした。ただ、数年前に、少人数で結束の固いクラスがあり、彼らは自分たちのことを「チームバチスタ」と呼んでいたので、今でも私とパートナーの先生は「伝説の?バチスタクラス」と呼んでいます。そんなことも、ふと頭の中をよぎったのかもしれません。そして、読んでみたら、おもしろい!それで日本に帰ってから、早速『バチスタの栄光』を読みました。そうすると、次に『ナイチンゲールの沈黙』、『ジェネラル・ルージュの凱旋』、『螺鈿迷宮』、『ジェネラル・ルージュの伝説』(これは、イマイチでした)と、まるで麻薬のように読みたくなってしまって、仕事が忙しいのに、夜更かしをしてしまい、まんまと著者の思うツボにはまり、悔しい思い?!デス。海堂さんが作品解説で、「明日は試験なのに、やめられない」と思わせられたら大成功!と言っていましたから・・・。何故、こんなにはまるのかというと、それぞれが独立した作品でありながら、リンクしているからです。例えば、『バチスタの栄光』の病院長の若いころのエピソードで『ブラックペアン1988』という作品がありますが、そこにほんのちょっとだけ、学生時代の田口公平(バチスタの主人公)たちが登場するのです。そんな風に、ある作品では脇役だった人物が別の作品では主人公になっていたりして、つい、次も次も読みたくなってしまうのです。そして、登場人物の中にお気に入りの人ができたりすると、更にやめられません。(私のお気に入りは速水医師と加納刑事・・かな♪)そして、とうとう、文庫本化した作品は全て読んでしまったので、今日は『極北クレイマー』を買ってしまいました。本当はこういう本は電車の中で読むので、重い単行本は買いたくないのですが、文庫になるのが待てなくて、つい・・・。でも、映画やドラマは、キャストを見ると私のイメージとは随分違うから、見ないかなぁ。。。

そうそう、旅先では読み終わった本はそこで出会った人に大体もらってもらいます。『ジーン・ワルツ』はコスタリカ人と結婚して6年というSさんに。海外では日本語の本はなかなか手に入らないことも多いので、すごく喜ばれるし、私も荷物が減ってうれしいので、一石二鳥デス!

いろんな色の黒い本 El libro negro de los colores [LIBROS]

Menena Cottn(文), Rosana Faría(イラスト)、Tecolote社(メキシコ)スペインでの出版はZORRO ROJO社。
2007年、ボローニャ国際児童図書展、New Horizon賞(第三世界の出版社の作品に限られた賞)受賞。

英語版のタイトルは"The black book of colores"です。表紙のイラストは黒地にグレーで描かれていますが、ページをめくると左側ページの上に点字、下に白で文章、右側ページは真っ黒・・・。黒地に黒の光るビニールのような素材で絵が浮き上がっています。触って感じる絵本です。例えば「黄色は辛子の味がするよ。でも、ひよこの毛みたいにふわふわなんだ。赤はいちごみたいにすっぱくて、西瓜みたいに甘いよ。でも、お膝にケガをした時顔をのぞかせる赤は痛いんだ。」そんな風にいろいろな色を味や触感、音、臭い等で表現している本です。全部読んでから、本を閉じて、目も閉じて・・・適当にどこかのページを開いて触ってみると、普段使わない感覚がわいてきて、部屋の中にざわざわを風が吹いてくるような気がします。巻末には点字のアルファベット表もあります。ほぼ全てが黒い本なのに、どんな本よりもカラフルな本のように思います。おすすめの一冊です。

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You Tubeに音が付いた映像がありますが、これは絶対に本の方がいいと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=R6xNg0544sE

「食堂かたつむり」とピンクのミルクパン [LIBROS]

『食堂かたつむり』を読みました。ストーリーを知りたくない方はご注意!

読み始めてしばらくは、ザクロカレーやジュテームスープなど、素敵なお料理が、それを食べた人たちをハッピーにしていくので、読んでいる私も幸せな気もち。主人公の倫子ちゃんみたいにお料理で誰かを幸せにできるっていいなぁ~、秋になったら絶対、ザクロカレーを作ろう!なんて思ったり・・・。そんな風に思いながら、電車の中で読んでいたのですが、後半、長い間倫子ちゃんと確執のあった倫子ちゃんのおかんがガンで余命いくばくもない、とわかったところから涙、涙!きっと変な人だと思われたに違いありません。だって、心をこめてお世話してきた、ペットの豚のエルメスを食べることにしてしまうなんて、私だったら絶対無理。以前、どこかの小学校で飼っていた豚を食べるかどうか、という映画があったけれど、理屈は正しいかもしれないけれど、でも、やっぱり名前までつけたペットを食べるなんて、到底、無理。どこかの無人島で飢え死にしそうになったら?????う~~~ん。それでも、難しいかも・・・。そもそも、名前をつけていない動物すら自分の手では殺生したことがないことが当たり前の生活だもんね。

おかんが亡くなった後、屋根裏で倫子ちゃんはおかんからの手紙を見つけます。もう、これは公共の場では絶対読めないと、電車の中で続きを読むことは諦めて、家で読んで正解。久しぶりに本を読んで泣き泣きになりました。でも、泣き泣きでも、嫌な涙ではなくて、じ~んとする涙になりました。

さてさて『食堂かたつむり』には数々の素敵なメニューがあるのですが、すぐさま真似をしたくなったのが、「ココア」です。「ペティナイフでミルクチョコレートを細かく削り、ホーロー鍋に入れて弱火で温め、チョコレートをミルクでのばす・・・・ココアが温まるのを見計らい、最後にたっぷりのはちみつと、隠し味に最高級コニャックを数滴たらす。・・・・」これだけでも、チョコレート中毒の私にはたまりません。あ、でも、『食堂かたつむり』の番外編の『チョコムーン』を読むと、倫子ちゃんのココアのチョコレートは「テオブロマのキャビアチョコレート」。キャビアチョコレートはキャビアみたいな形のチョコレートだから、削らなくてもいいハズなんだけれど。削ったチョコレートを使ったココアは小さな女の子に出してあげたものだし、キャビアチョコレートは新婚旅行?のゲイカップルのお祝いだから、チョコレートを変えたのかな?まぁ、それはいいとして・・・実は私、ミルクパンを持っていませんでした。小さなホーローのお鍋は持っているので、じっくりミルクティーを作ったりする時にはいつも、その小さな白いホーローのお鍋を使っていたのですが、カップに移す時にわざわざお玉とかですくわないとこぼれてしまうのです。せっかく素敵なココアを作るなら、丁度いい機会なのでホーローのミルクパンを買おうと思いました!そして、早速、かっぱ橋へGO!ミルクパンってちっちゃくてかわいい色のものがたくさんあるので、迷いに迷う。そして決めたのがChasseurのピンクのお鍋。重いのでどうしようかなぁ、と思ったけれど、でも、気に入ったものを大切に長く使おうとGET!本当に、このお鍋を使うだけでハッピーになっちゃうくらいかわいいいミルクパンです♪♪ココアも気合いを入れてキャビアチョコレートとたまたま北海道物産展をしていたので、牛乳も駒ヶ岳牛乳を使って・・・。わ~ん、でも家にコニャックなどないことに、ココアを作り始めてから気づきました(しゅん)今回はコニャックのかわりに、ラムを数滴。はちみつはオペラ座の怪人が住んでいるパリのガルニエ劇場でとれたもの。『食堂かたつむり』ココアいえろ風となりましたが、とっても幸せな味のココアに仕上がりました。今度、実家に帰ったらいえろママにごちそうしてあげようと思いました。

映画の方の『食堂かたつむり』も観に行こうかなぁぁ。

スペイン旅行記 カレル・チャペック [LIBROS]

友人が挿絵がかわいいと勧めてくれたので、読んでみました。『ダーシェンカ』というかわいい子犬のお話や『長い長いお医者さんの話』という本を子どもの時に読んだ方も多いかもしれません。カレル・チャペック(1890~1938)はチェコ人の作家です。そして『スペイン旅行記』は彼がスペイン旅行をした時のエッセーです。どこから読んでも楽しく、忙しいときにも読めるので、私もオススメします。

ナポレオン以外のヨーロッパの人もピレネーを越えたら「アフリカ」だと思っていたんだなぁ~とか、当時のくつみがきの人に会ってみたいなぁ~とか、「今」のスペインとは違うちょっと昔のスペインの様子もわかるし、彼が「別の時代に迷い込んだようだ」というトレドは、今もそれほど変わっていないのではないかなぁ、などと思ったり。それに、Sちゃんが言っていたとおり、彼が旅先でささっと描いたイラストが味があって、これも楽しいです。

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この本を読んでいると、ワインが飲みたくなりますが、悲しいかな、私はアルコール、弱くて、いつもグラス一杯だけ。カレルさんが羨ましい!


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